何事にも「きっかけ」と呼ばれる始まりがある。
本人の知ろうと知るまいと始まりは必ず存在する。
物語は突然に。
不意に予告もなく目前で始まる物語がある。
それがたとえ・・・・


「ヤンチ―って巨乳好き?」


こんな一言からでも始まる物語だとしてもだ!

これは。
ヲタレンジャーの歴史から抹消されたある一つの冒険の1ページである。

この黒歴史(前編、後編)は少々(6割)下品な表現があります。
嫌いな方、もしくは未成年は迷わず引き返してください。
ここから先に進む方は、現実と妄想の良識を持った方のみで御願いいたします。

(注意!)
ここから先の文章は犯罪を推奨するものではありません。
また、真似することを固く禁止いたします。
犯罪ダメ絶対!

(さらに注意!)
この黒歴史はフィクション(ネタ)です。
実際の地名、人物、団体名はまったく関係ないことにしておいてください。
だって、訴えられたら負けるからね!

(最後に)
これは完全なネタです。
事実をか・な・り・! 脚色しております。
完璧なまでの妄想です(事実を含む)。
女性の読者は読まないほうが良いかと。
男性は読んでも構わないかと。
未成年?
18R指定だよ、馬鹿ヤロウ♪

では、黒歴史始まりです!

それは領土戦『乱舞VOL2』が終わった6月の半ば。
ヤンキーがIN。
とりあえず、ギルドメンバーに挨拶である。
「こんにちは!」
INしているメンバーも挨拶を返す。
ヲタレンジャーも何だかんだとメンバーが何人か増えたり減ったりを繰り返し、現在20人。
その時のINしているメンバーはヤンキー含めて4人。
男性1人と女性二人である。

一応、プライバシーを尊重するために名前は伏せる。
が、それでは読者は分かりづらいだろう。
故に、便宜上の名前を設定しようと思う。
「兄貴」
「人妻」
「ハニー」
それぞれをこう呼ばせてもらうとしよう。

先行は兄貴から。
「そういえば、ヤンチー」
「なんでしょうか兄貴・・・てかヤン『キ』ーだからね?」
「ヤンチ―って何歳なん?」
「23ですよ・・・名前は間違ってますよ?」
「若いな、モンキー!」
「そうですか? ・・・てかすでに名前が違うって!」
ツッコミは当然スルー。
名前はそのままで会話は続く。

人妻のターン。
「ヤンチーの声をきいてみたいねー」
「チャットで十分でしょ?・・・だから名前!」
「スカイプなら声がきけるよー?」
「すかいぷ?」
「無料音声チャットのことだよー」

兄貴のターン
「ダンジョンとかでもチャットする必要もないしなぁー」
「へぇー。すぐにできるんですか、それ?」
「スカイプでググれ。そんですぐにダウンロードすれば、ソッコーで使える」
「ぐぐれ?」
「グーグルで検索しろ、って意味だ!」
「ぐーぐる?」
「検索エンジン!」
「???」
意味不明な単語にちんぷんかんぷんなヤンキー。
なにしろヤンキーはパソコンを買うときに、

「デスクトップを組み立てられないからノートパソコンでいいやーー」

と適当に選んで買った程の猛者である。
ヤンキーは基本的に機械オンチなのだ!


「えーと。とりあえず検索してくればいいんですよね・・・?」
恐る恐る聞き返すヤンキー。
「いいから、とっとと検索して来い」
説明に疲れたのか兄貴はひらひらと手を振る。
「押忍!」
インターネットを開き、右上の検索のところに「スカイプ」と書き込む。
順調である。

その時最後の三人目、ハニーが心配そうに訊ねる。
「ヤンキーさん、大丈夫? 検索できた?」

「はい、大丈夫です。いま『ヤフー』でググってます」

その台詞に兄貴が怒りが頂点に達する。
クワッ、と目を開いて叫ぶ。

「それはググってるって言わねぇんだよ!」

「ほぇ?」
首を捻るヤンキー。
「ググれっていったのに、何でヤフーやねん!」
「ヤフーを使ったからですけど・・・?」
「グーグルで検索するから『ググれ』なんだよ! このバカタレ!」
「ヤフーもグーグルも検索できればどっちでもいいのでは?」
「あぁ〜〜もう!」
わしゃわしゃと髪を掻き毟る兄貴。
言われている意味を何一つ理解できないヤンキー。
小学生に数学を教える先生のような兄貴の心境に心から同情である。

とりあえず、ダウンロードは終了。
「あ、スカイプができるようになりました!」
兄貴は億劫そうに説明を再開する。
面倒見の良いお人である。
「あぁ、それでマイクを繋げば会話できるから」
「まいく? カラオケの?」
「アホ! 誰がボケろといった」
「え? それ以外にマイクって何???」
とことん機会オンチなヤンキーであった。

人妻が代わりに説明する。
「ヘッドフォンセットのことだよー」
「ほほう。アレか」
その時、頷くヤンキーに対して兄貴の目が光る。
「おまえ、マジでわかってんだろうな? ちょっと説明してみろ」
「え!? えーと、ほらあれですよあれ、えーと・・・」
「わかってねぇじゃん、おまえ!」
一秒でウソが看破されるヤンキー。
「ごめんなさい」
オトコには意味もなく見栄を張りたいときもある。
ヤンキー、若さゆえの間違いである。


「つーことはお前、マイクは持ってないな、こら?」
兄貴がヤンキーに対して確認する。
「うむ、持っていないぜ!」
「胸を張って言うことちゃうわ!」
「ごめんなさい」
「あー、じゃぁ今度どっかで買ってこいや」
「では、来週に買ってきます!」
「遅いわ! 今すぐ行って来んかい!」
「無理!」
「言い切りたがった!?」
「いや、だって、来週の金曜まで仕事なんスよーーー」
ちなみにこのあと2時間オンライン。
その時間を使えば買ってこれたことを今更言うまでもない。

「ちっ。じゃぁ仕方が無いな、許してやらぁ」
「はい。来週、アキバにでも買いに行ってきますね」

その時、
沈黙していた人妻がこう言った。

「ヤンキーって巨乳好き?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヤンキーの時間が停止する。
もちろん、聞き間違いではない。
断じて、見間違いでもない。
間違いなく、人妻はこう言った。
「巨乳」、と。
もう一度よく見る。

「巨乳」

腕を組む。
目を閉じる。
深呼吸を一つ。
心を落ち着ける。
うむ、と大きく頷く。
ヤンキーはモニターの前でメガネを中指でクイッと押し上げてタイピングを始めた。

「な、ななな、何を仰っているのですか私がそんな女性のある一部分だけを大好きとかあ、
あ、ああ、愛してるとかもうヤバイねとか人前でずけずけと声高に宣言したりするわけがないじゃないですか
ほらアレですよアレ女性の魅力って胸とか胸とか胸とか?そんな一部分で決定するモンじゃないわけですよ
てめぇもっとこうなにか一言で言い切れないものといいますかいいませんか大きければいいというものでもないわけですよ
きっと、多分、恐らく、デカイ最高、ほらね?私も一応大人の端くれですから贅沢なんて言いませんよ?
けどやっぱりほらあるじゃんいろいろいろいろdsjふぁそあ☆○●■▽%&#$f>w<fじゃkdふああぁ;kぷげら」

もはや、ろれつの回っていないヤンキー。
ところどころに本音が混じっているあたり、ウソの吐けないアホである。
そんなアホに向かって人妻は一言トドメ。
「本音は?」
たった一言。
そのたった一言は回避不能の刃となって、ヤンキーの全身を突き刺す
すでに身体は直立不能。
何も考えられない思考は、本能でタイピングする・・・!

「ごめんなさい。大好きです・・・・・」

ポツリ、と。
両手で顔を覆い、涙を流すように声に出す。
ヤンキー心の告白であった。
否!!
オトコの魂の慟哭である!
ここでウソを吐くことは漢にとって絶対許されない命題である!
そう!
これは有史以来、人類の半分、全男性が追い求めてきたテーマ!
空に憧れ、宇宙を突き抜け、月に到達して尚、求め続けて止まない究極の夢! 希望! 未来!
宇宙の果てに辿り着こうとも、ヲトコの求める神秘はすぐ近くにある!
ウソなど吐けるわけがない。
ここでウソを吐くということ。
それは漢であることの全否定である!
つまり。

「だって仕方ないじゃん! 男の子だもん! まだまだ若い男の子だもん!」

その数日後。
人妻は「旅に出る」といってギルドを抜けた・・・・


兄貴が話を戻す。
「で、なんで巨乳なん?」
人妻が答える。
「アキバのヨド○シの『ピーーーーー』(プライバシーの為伏せる))ってところのウエイトレスのお姉さんが美人で巨乳だったんだよーー」
ヤンキーがつっこむ。
「ちょっと待て! 貴方は女性の筈なのに、なんで思考がオヤジ臭いんだ・・・?」
人妻の力強く、否、男よりも漢らしくこう答えた。
「どうせ見るなら、むさいオトコより可愛い女の子のほうがいい!」
脳天に直撃する魔法の一言。
身体を、心を、否! 断じて否! 魂である。
全てを破壊し粉砕し消滅させる魂のビックバン・・・だが全てを無くしたとしても間違いなく最後まで残り続ける熱き本音の炸裂である。
というか、ぶっちゃけすぎ。
そんなこと言われたらもう何も言えねぇよ、コンチクショー(笑)
「あぁ、なんだろう? この目から溢れてこぼれていく雫は・・・」
涙である。
まさに目から鱗。
言われてみれば、その通り。
確かにマッチョなんぞ見ても心動かされはしないだろう。

けど、女の子なら?
それが可愛かったなら?
つーーーか、巨乳なら?
もうガン見するっきゃないでしょう!

むしろ、義務。
オトコには可愛い女の子をガン見しなければならない義務がある!

「さて、と・・・来週の予定は決まったな」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「はっはっは。どうしました皆さん?」
三人のため息混じりの生暖かい視線が突き刺さる。
すでに何も言わなくてもヤンキーの心を理解する三人。
まさに以心伝心。
むしろ判りたくもない事だったことを言うのは野暮というものだろう。

「では、巨乳のお姉さんを見てくるついでにマイク見てきま〜す!」

「逆だバカ! マイクが先だろうが!」
「もうマイクどうでもよくなってるよモンチー・・・」
「悩みとかないんだろうなぁ、ホントに・・・・」

3人のツッコミなど当然ヤンキーの耳には届かない。
胸の前で拳をグッと握り締めて、恍惚な表情で期待に妄想爆発させるヤンキーは、
来週の土日は完全休日にして仕事をお休みするのであった・・・・・・

次回予告。
アキバに降り立つヤンキーの勇姿。
準備は万端。もうヤツは誰にも止められない!
ご飯を食べに行くのかマイクを買いに行くのか、つーか巨乳なのか。
それはもう言う必要などなかった・・・・

次回予告タイトル

「本物は小さいものを愛でるものじゃ、フォフォフォ」

一度。
ヤツ(ハゲ)とはガチで話をする必要があるな。

お楽しみに・・・・・・しなくていいよ?


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