ヲタレンジャーPRESENT‘s

ジジイドッキリー大・作・戦・☆!!
〜キラリ(ハゲ)もあるよ。ポロリ(ヅラ)はないけどな!〜

そう。
あれは五月の一日。
世に言う「黄金週間」が始まった、あの日に遡る。
今日はあの熱い日の出来事を語るとしよう。
それはある昼下がりの一幕から始まる。


〜回想〜
モニターの前で腕を組み、瞳を閉じている一人の男。
次の瞬間、カッと瞳を大きく開き。
「やっべーーーーー!! 『VS乱舞(後半)』が納得できねぇ!!!」
サイトに載せる領土戦レポートに四苦八苦するヤンキー。

説明しよう!!
ヤンキーは小学生の頃、作文の宿題を一度も出したことがないほどの猛者なのだ!!

「いやしかし、四月は楽しかったなぁ〜〜・・・・・」
ついに現実逃避に走るヤンキー。
人間、過去(思い出)に振り返り始めたら終わりである。
「そういえば、去年の今頃って何をしてたっけか・・・?」
気になったので、去年のスケジュール帳を引っ張り出す。
「四月は・・・うわぁ、休みを一日も取ってねえよ俺」
ハハハと乾いた笑いを浮かべながら、四月のページをめくるヤンキー。
「五月は・・・え〜〜となになに・・・・?」
視線は五月二日の突き刺さる。
「二日は・・・・・・・・・・ジジイの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誕生日
だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!
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!!!!!!!!!!!!! !!!
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!!!!!!?」
ビッグイベントである。
むしろ、一大事。
「ヤヴァーーイ、すっかり忘れていたぜ!!!」
それもそのはず。
何故なら、去年のヤンキーは一週間遅れで誕生日に気付いたという。
今回は一日前に気付いただけ、まだマシ。上等である。
「ん? というかもう夜じゃねえか!! 店なんて閉まってるよ!!」
一人ノリツッコミが冴えるヤンキー。
人間テンパってると色々と本性が前面に押し出されてしまうものである。
「くっ・・・! 考えろ考えるんだ俺!!」
その時、ヤンキーの頭上に現れる、天使(理性)と悪魔(本能)
悪魔:「あん? べつにいんじゃね? あんなジジイなんぞ放っておけや」
天使;「諦めてはいけないわ。長老さんは貴方のプレゼントを待っているはずよ」
ヤンキー;「いや、それはねぇなぁ」
悪魔:「!?」
天使;「!?」
ヤンキー即答である。
ヤンキー;「それに店閉まってんだから、プレゼントなんて無理っスよ?」
天使;「ダメよ! 貴方が長老さんは祝わなくて誰が祝うというの!?」
ヤンキー:「順当にいけば、家族でしょ? もしくは友人」
天使:「貴方は友人じゃないの!?」
ヤンキー「は? 何言ってんですか、てめぇ。ジジイは敵ですよ敵 。
お互いの腹のうちを探り合い弱みを握るギスギスした友情をいつでも安売り大バーゲン中だよこのヤロウ」
天使:「そんな友情どこにもないわよ!!」
ヒステリックに叫ぶ天使。
その時、悪魔がこう言った。
悪魔「つか『おめでとう』って言えば十分だろ。肝心なのは気持ちだよ気持ち。よくいうじゃねえか。『モノより思い出』って」
割といいこと言う悪魔。
悪魔;「つーか、いつもの仕返しにドッキリでも仕掛けたれや」
ヤンキー;「!?」
まさに逆転の発想!
何をしても誕生日にかこつけて許されるという千載一遇のチャンス!?
天使;「いけないわ。そんなことはして―――」
ヤンキー;「うるせぇだまれ」
天使;「ゲホッーーー!!!」
天使の鳩尾に抉りこむようなボディブロー。
悪魔;「ヤンキー選手、素晴らしいボディが決まったーーーー!!」
ヤンキー;「ワンツーワンツー、最後にストレートではなく、ドロップキィーーーク!!!」
天使;「グハァーーーーー!!!!」
悪魔;「決まった〜〜〜〜!! もはやボクシングでもなんでもねぇーーー!!」
天使(理性)をTKO(テクニカルノックアウト)
この瞬間
ヤンキーの中から唯一の良心が消え去ったことは言うまでもない。
ヤンキー;「クックック、クハハハハ、ハァーハッハッハッハッハ!!!!」
かくして、ベテルギウスを舞台に壮大なドッキリが仕掛けられようとしていた。


同5月1日
20時30分
ギルドチャット抜粋。
「みんな、話があるから聞いてくれ!!」
いつのまにやらヲタレンジャーも人数が増え、ようやくギルドとして活動できるようになっていた。
そもそも「二人で領土戦に挑むなんてどんだけ無謀やねん!!」といまさら気づくヤンキー
しかも相手はbPとbQギルド。
いや、若いって怖いね?
青春と書いて、突撃と読むくらいバカだね。
まぁあれだから、名前の通りヤンキー(反抗期)だから♪
生温かい目で、むしろ絶対無関係の視線で見守ってやってつかぁぁさい。

話を戻そう。
そのときINしていたのは二人
「明日はジジイの誕生日!! みんなでジジイを祝いたい!! 協力してくれ!!」
快く応えるメンバー
「選択肢は二つ」
まずは一つ目
「ギルド内でおめでとうと祝うか」
そして本命。
「ベテルギウス全部を巻き込んでドッキリを敢行するか、だ!!」
答えるのは、ヲタレンジャーに入りたいと言ってきた強者達である。
もちろん、答えは一つしかなかった。
「もちろん後者でしょ!!」
「というより、それ以外にありえません」
さすがヲタレンジャーのメンバーたち。
一切の躊躇なく即答しやがった。
しかも本気である。
『本気』と書いて、『マジ』と読み、
「え?ww、ちょwwww、マジで!?」
と聞き返したくなるほどの清清しさよ!!
今この瞬間。
こいつらが仲間であることを誇りに思ったことはなかった。
さすがジジイの元に集った勇者たち。
将来、間違いなくお前ら、ハゲるよ?


そして。
ついに計画が始動する。
ヤンキーが懐から取り出した一つのラッパ。
発信される世界チャット!!!

「明日はウチのジジイの誕生日。盛大にドッキリを仕掛けて、祝ってやりたい。その為には私一人ではどうにもならない。みんなの力を貸してくれ!!!!」

「場所は剣仙城、時刻は20時ジャスト!! 
ジジイを一泡吹かせて腰を抜かせてヒィヒィいわせてポックリ逝かせたい人は是非お越しください!!!」

この時
ヤンキーの頭の中に「祝福」の二文字は存在しているはずもなかった。


5月2日
7時30分。
ヤンキー史上最大の戦いが始まる。

「と、言うわけで。ジジイのドッキリを敢行します」
ヒソヒソと囁き声
「なんかもう目的かわってね?」
「長老さん、マジで死にそう・・・」
「こんな穴だらけの計画初めてだよ・・・」
「うるさいよおまえら!?」
さすがヲタレンジャーメンバー。
ツッコミも一流である。


ミッションbQ
〜ジジイドッキリ大作戦☆〜


作戦を説明する。
当日は予想外の事態が発生する可能性がある。
全員、臨機応変に対応させたし。

1「まず、剣仙城のマッテオ(432、887)の前に広がっているレッドカーペットに集合」
2「その上の建物の屋根部分に集まったメンバーは待機」
3「ヤンキーがジジイをおびき寄せ、その下までつれてくる」
4「ヤンキーの合図と共におめでとうコール」
5「全員急降下。着地と同時に花火連発」
6「ジジイの動揺を暖かく見守る」
7「ヤンキーの世界チャで終了」

以上、諸君の幸運を祈る!!

……このとき私たちは気付いていなかったんだ。
いや、気付いていて知らない振りをし続けていた。
この計画は絶対に失敗するのだ、と。
その現実に打ちのめされるのは、12時間後。
ヲタレンジャーはジジイの悪意無き無邪気さに完膚なきまでに叩きのめされることになる。


19時ジャスト。
ヤンキーがIN。一番乗り。

19時30分。
全員集合。
同時に世界チャで参加者を募る。

「ジジイドッキリ大作戦☆!! みんなでジジイをポックリ逝かせたいという方は剣仙城まで!!」


続々と参加する有志たち。
着々と進行する準備。
この時間に領土戦さえなければ、「あの空の彼方へ」様と「乱舞」様に招待状を送ったものを・・・。
しかし、『おめでとう』と世界チャで叫べば、誰かは応えてくれる。
ヤンキーはベテルギウスを信じていた。

〜脳内妄想〜

8時
ついに始まる誕生日。
「ふっふっふ。ジジイ・・・今日が何の日だか知っているか?」
「んーー? ヤンキーがグレた日かのぅ?」
「うるせぇよ!! ちょっと遅めの反抗期がきただけだ!!」
「それも人としてどうかと思うがのぅ?」
「いいからこっち来い!!」
「わぁ、蝶ちょじゃ、まてぇ〜〜〜〜」
「ウロウロすんな!!」
ジジイを捕まえて所定の位置に立ち止まらせる。
「3」
カウントダウンが始まる。
「2」
身構える一同。
「1」
手に汗握る瞬間である。
「0!」

「「「「長老、誕生日おめでとう〜〜〜〜〜!!!!」」」」

ジジイ目掛けて急降下する一同。
着地と同時に花火が炸裂する。
「おぅ!?」
ジジイ、動揺のあまりに踊り始める。
ヤンキー世界チャ。
「ジジイへ。本当に誕生日おめでとう。日ごろの感謝を込めてドッキリを仕掛けました。これだけの人数に祝福される最高のジジイ。アンタ最高だよ」

「これからもキラリと光るハゲと共にベテルギウスを盛り上げていきましょうね!!」
ジジイ、感動のあまりに滂沱の涙。
「ジジイはいま最高に感激パンダ!!」
「口調が変わってるからww」
「これからはモヒカンにして頭に毛を生やすぞぃ!」
「やかましいわ、ハゲ!!」
「ふぉふぉふぉふぉ」
「はっはっはっは」
笑顔だった。
集まったみんなが最高の笑顔でジジイを祝うことが出来たのだ。
「ありがとう!! ありがとうみんな!!」
「最後にジジイを胴上げだぁぁ!!!!」
「「「わっしょい!わっしょい!わっしょぉぉぉぉい!!!」」」


〜終了する脳内妄想〜
「なぁ、ヤンキー・・・」
呼ばれたことで意識が覚醒する。
「な、なんでしょう・・・・・?」
視線を逸らし、ビクビクしながら返答する。
「ここに居る皆が思っていることを全員で言っていいか?」
「うっ・・・!」
「いや、まぁ・・・。ヤンキーも判っていると思うけど、あえて言うよ」
「あぁ、言わないとな・・・」
「いや、これはもうちょっとな・・・」
「じゃぁ、せーのでいくぞ」
「せーの」
皆が一際大きく息を吸い込み、声をそろえて叫んだ。

「「「「「ジジイはまた遅刻かよ!!!!」」」」

「あれほど来いって言ったのにぃ!!!」
崩れ落ちるヤンキー。
ダンダンと地面に拳を打ちつける。
「あのジジイは一体、どれだけノンビリしてりゃぁ気が済むんだ!!」
現在8時15分。
根気よく待ち続けたメンバーたちも、我慢の限界が突破してしまったのだ。
「まぁ、長老さんはドッキリって知らないしな・・・」
「ヤンキーは悪くないよ。うん、悪くない」
「つーか、もはや名物?」
ヤンキーのあまりの不憫さに怒りより同情してしまう一同。
それがヤンキーの心にトゲとなって深く突き刺さる。
「うぅぅぅ・・・! 祝いたかったのに! 皆で祝いたかったのに!!」
仕舞いには地面に頭突きをし始める始末である。
「あ〜〜。落ち着けってヤンキー」
「そうそう。誰だって失敗くらいあるよ」
「あんまり自分を責めるなって」
「やめろ! そんな言葉で慰めないでくれっっ!!!」
慰めれば慰めるほど、ムキになるヤンキー。
子供をあやす苦労を味わう親のような気持ちになる一同。

この時点で8時20分を経過。
この後、領土戦やらリアル用事やらで抜ける人が続出。
続行は誰がどう見ても不可能だった。
「止むを得ません。今回は延期とするしかないでしょう」
頷く一同。

世界チャ
発信者ヤンキー。
「〜ジジイドッキリ大作戦☆〜 ……ジジイが今現在も遅刻しているため、ドッキリは延期とさせていただきます。
みなさんご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!!!」

解散するメンバーたち。
一人一人に頭を下げるヤンキー。

全員が帰った後、
ヤンキーはまだ、会場に残っていた。
その手には一輪の花。
「来る、来ない、来る、来ない、来る・・・・・・・・」
花びらがどんどん散っていく。
足元には、山のように積まれた花の残骸。
血走った眼で花びらを千切り続けるヤンキー。
「来る、来ない、来る、来ない、来る―――」
残り一片の花びら。
「来ない」
瞬間、頭をかきむしり始めるヤンキー。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!! どうしても来ないで止まりやがるぅ〜〜〜〜〜!!!」
遠巻きにヒソヒソと声が。
「(ちょっと、なにあれ?)」
「(だれか、GMを呼べよ)」
「ママ〜〜、あそこに変な人が居るよ〜〜〜」
「ダメ! 見ちゃいけません!!」
すでに不審者を通り越して、変質者の様相をみせるヤンキー。

この時点で9時25分
諦めて帰るか、と思った次の瞬間!
世界チャット
発信者テラキモス長老。
「GWは全部仕事だっちゃ」
長老、1時間26分15秒遅刻。(最長記録更新)
世界チャット。
発信者ヤンキー。
「ジジイ!! 一時間26分15秒も遅刻しやがって覚悟は出来ているんだろうなぁ!!!」

その時、集まってくれた人達からササが来る。
「長老、大遅刻・・・殺るか?」
「今からボコリに行く?」
「シメるなら手伝うぜ?」

皆さん、すでに戦闘体制完了いつでも出陣可能な恐ろしい台詞を吐きまくる。
あ、あの・・・ジジイを祝う日ですからね、きょう・・・?

この時にはGメンバーの8割はログアウト。
ドッキリは不可能であり、またテンションが萎えている以上、
来週に延期が決定したのであった




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