漢には負けると判っているとしても、戦わねばならないときがある。
漢にはどんなことがあろうとも、立ち向かわねばならない戦いがある。
背を向けることは許されない。
その為のギルド。
その為の仲間達。
さぁ、行くぜ?
漢は黙って立ち向かえ!
女は黙ってついて来い!
え……?
○○だと!?
あ〜〜、適度に離れてついてきてね…………?


4月20日。
領土戦である。
懲りずに領土戦である。
もう一回言うけど、領土戦であ〜〜る!!!
相手はベテルギウスの二大巨頭ギルド。「乱舞」
対して、挑むは我らがギルド「ヲタレンジャー」
気分はタイタニックで世界一周旅行。
必ず沈む運命の世界最大級豪華客船のチケットを手に入れて、極楽気分である。
もちろん、気分がいいのは最初だけ。
行き着く先は敗北という名の極寒の奈落。
覚悟なんてとっくに出来てるぜ?

すまん、うそですタイ。
おいドンは勝ちたいとです。
まぁ、ぶっちゃけ無理だがな!!!

ヤンキーの最近のマイブーム「九州弁」
チャットで話すとマジで面白いぜ?
毎回話すと胃がもたれる気分になるから、時々がベスト。
これを見た九州育ちの方。
是非、話し方を教えてね!

話が脱線したようだ。
元に戻そう。

4月20日。
時刻20時ジャスト。
ヤンキーIN。
一時間前にはキッカリ集合するヤンキー。
昔の体育会系の名残である。
「……………………」
緊張で飯も喉に通らない。
このドキドキワクワクキョドキョド(挙動不審)はいつ味わっても慣れないようだ。
準備はすでに朝に済んでいる。
後はジジイを待つのみである。
ヤンキーの胸中にはギルマスに対する一つの想いがあった。

「ジジイ…………遅刻すんじゃねぇぞ、頼むから!!!」

正直それだけである。
勝つとか負けるとか二の次。
一人とか本気で怖いから!!
ジジイが無事の来るかどうかのほうが緊張するから!!!

「え? 二人でも一緒? 今モニターの前でそんな普通の感じのツッコミした人。
あんたツッコミの才能ないぜ? 気をつけな!!」

「え? 余計なお世話? 今モニターの前でそんな普通の感じのツッコミした人。
マジでツッコミの才能無いぜ? 諦めろ」

「なに? 「やかましいわ!!」だと? 今モニターの前でそんなツッコミしたヤツ。
ここまで諦めずツッコミ続けた貴方は天才です。
お笑いで天下取れるぜ? 
ヲタレンジャーは君を待っているぞ!!!」


ウロウロと周りを徘徊しながら、30分が経過。

20時30分
ギルドチャット抜粋。
「とうっ!!」
ジジイ、無事到着。
「…………」
「ふぉふぉふぉ。ワシより先に来ておるとは感心じゃの、ヤンキー」
「…………」
「ヲタレンジャーは遅刻厳禁じゃからの!! 良い心がけじゃわい!」
「…………」
「遅刻とかするヤツの気が知れんの!」
「あ?」
「ごめんなさい!!」
ジャンピング土下座する長老。

ヲタレンジャー暗黙の了解 〜パート2〜
冗談もウソも好きなだけ言って良し!
ただし、その後には必ず訂正して謝れ。

額に青筋を浮かべるヤンキーにさすがにヤバイと察した長老。
地面に頭を擦り続けて謝罪を続ける。
組んでいた腕を解いて腰に手を置き、ため息を吐いた後、
「今度遅刻しやがったらギルド解散の危機だということを肝に銘じておいてください、長老」
「わ、わかったぞぃ…………!」
「まぁ、アンタについていくと決めていますからそんなことはありませんけどね」
「や、やんきー!!」
「だから、許してあげます。さ、行きましょ?」
「な、なんという男前なヤツじゃ!」
「そんなことありませんよw」
「これもワシの教育の賜物じゃな!!」
「あ?」
「ごめんなさい!!」

締めるときは締め(ギスギスする雰囲気)、休めるときは休む(遅刻するぐらい?)。
そんな超一流ギルド「ヲタレンジャー」

ダメだ。どうみても将来が不安で仕方がねえよ。


21時00分。
領土戦5分前。
恒例の世界チャット。
発信者ヤンキー。
「さぁ、今日の領土戦は『乱舞』お前たちだ!! 
ギッタギタのボッコボコにされてやるから覚悟しろよ!!」

「「「「されてどうするんだよ!!!」」」」
そんなツッコミ囁きが十数人から送られてくる。
「…………しまった。つい本音がポロッと出てしまったぜ!!」
ヤンキーから反抗期を取ったら、素直成分しか残らないのだ!!

21時5分。
領土戦開始。
「ヲタレンジャー VS 乱舞」

「ヤンキー!! いつものの作戦じゃ!!!」
「いつもの?」
そもそも領土戦はこれが2回目である。
いつもどころか、まともな作戦さえ聞いたことは無い。
え〜〜と、なんかあったか…………?
「VSあの空の彼方へ」でやったことといえば、城壁上って飛び降りたくらいである。
そして、突撃。
あと、10回くらい死んだくらいか
スタート地点で首をひねっているヤンキーにむかって、長老は叫ぶ。
「バカモン!! 早く城壁に上ってベストポジションをきーぷじゃ!!」
「だから、それは作戦とはいわねぇよ、ジジイ!!」
「ヒーローは高いところから飛び降りて参上しなければならんのじゃ!!」
「なんか、それは納得するな…………」
「急ぐのじゃ、ヤンキー!!」
「はいはい」
「『トウッ』も忘れるでないぞ!!」
「いや、だからそれは…………」
「今回は着地と同時に踊りも追加じゃ!!」
「バカだ!!」
「ワシはコンボコマンド(連続スキル発動)に踊りを追加しておるぞ!!」
「間違えた、こいつ大バカだった!!」

ちなみに
本当に追加しています。次回領土戦のときは是非ご確認ください。
ダンジョンでも確認できます。誘ってみてください。
ヲタレンジャー公式サイトにも写真を貼り付けております。
よろしければ、覗いてみてください。


城壁の上には強風が吹いていた。
それは前方から吹き荒れるプレッシャーの壁。
ヤンキーにはこの風に覚えがあった。
「こ、この王気(オーラ)は!?」
そう、絶対の強者にしか発することしか出来ない威圧感。
それが前方より一足先に吹き荒れてくる。
「長老…………」
「くるぞぃ!!」
押し寄せてくる軍勢。
「あの空の彼方へ」が全てを吹き飛ばす大嵐だとすれば。
「乱舞」は全てを飲み込む大津波。
その攻撃は一瞬にして絶大。
一糸乱れぬ隊列は容赦なく目の前の光景を蹂躙する。
身体の震えが止まらない。
それは恐怖でもあり、武者震いでもある。
背中には汗が張り付いている。
それは長老も同じだった。
ジジイは裸なのでパンツがグッショリである。
断じて漏らしたわけではない。

「ハァーハッハッハ! よく来たな、『乱舞』!! 今日の餌食は貴様らだ、覚悟しやがれ!!!!!!!!」

「「トウッ!!」

その中心へ、我々はあえて飛び降りる!!

そして、瞬殺!!

「クッ…………!!」
「一秒も持たんか!」

スタート地点に強制的に戻された我々の前にはすでに奴らが!
「ヤンキー!! 前に出るな!!」
「しかし…………!」
「ここは安全じゃ!!」

説明しよう!

スタート地点付近には敵が近づくと大ダメージを与える塔がある。
復活したキャラクターが狙われて即死してしまわないように
システム上の配慮があるのだ!!


動けない我々。
一歩でも出れば、瞬殺する構えの「乱舞」
「(ジジイ……)」
小声でヤンキーが話しかける。
「(なんじゃ、ヤンキー)」
「(私が囮になります。その隙に行ってください)」
「(しかし…………!)」
「(なぁぁに。拳戦士は回避率が高い。簡単に殺されはしないさ、ジジイにはこの前の借りがあるしな)」
このとき、ヤンキーは思い出していた。
最初の領土戦でジジイが囮になって自分を逃がしてくれたことを。
「(行くぜ、ジジイ!!)」
(※注 全て白チャ)



「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
走り出すヤンキー。
次の瞬間、
炸裂する魔法の嵐!!

説明しよう!!
物理攻撃と違い、魔法攻撃は100%の確率でヒットするのだ!!

ヤンキー死亡2回目。
「無理だな」
「無理じゃな」
互いに頷きあう二人。
ぶっちゃけ、どうしようもない。
流石にLVが違いすぎるのであった。

だが。
そこで懲りないのがヤンキーという漢である。
「ふんぬぅーーーーーー!!!!!!!!」
死亡。
「おらぁぁぁぁぁーーーー!!!!!!!」
死亡。
「こなくそぉぉぉーーーーーーー!!!」
死亡。
「てやんでぃ!!!!!!!!!!!!」
死亡。
「こんちくしょーーーーーーー!!!!」
死亡。
「や〜〜ら〜〜れ〜〜た〜〜〜」
以下略。

「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ…………」
地面に大の字で倒れるヤンキー。
すると、乱舞メンバーが一人を残して距離をとり始めた。
相手は弓使い。
「「?」」
その手にあるのは弓である
次の瞬間、ヤツは弓を投げ捨て「槍」に装備を変えてきた!!
「!?」
目を疑う我々。

これがどれだけ無謀か例えるならば。
充電されてない電子機器。
購入したパソコンにモニターがついてない。
某有名ネコ型(タヌキ?)ロボットが四次元ポケット持ってない
それくらい有り得ないことなのだ!!!

だが、自信を持って弓使いは一歩前に出る。
映画『マトリックス』主演男優キアヌ・リーブスばりの手招き。
どうやらヤツはこう言いたいらしい。
「本気を出したら可哀想だから、ハンデを付けてやるよ」

「舐めおってぇぇぇ!!!」
長老が槍持った弓使いに突撃する。
相手は装備を変えてスキルも使えない状態だ。
勝機は十分ある!!
「ワシを舐めるなよぉぉ!!!」
しかし。
4発。
たった4発の攻撃で、

衝撃!!
ジジイ、槍持った弓使いに敗北す!!

同時に流れるシステムメッセージ。

「乱舞はヲタレンジャーに勝利しました」

祖龍の南テレポート前に戻るジジイとヤンキー。
「ふっ…………今日はこれくらいで勘弁してやるわい!!!」
「思いっきり負けてるとです」
「ヤンキー、シメの世界チャじゃ!!」
「オス!」

少し世界チャの内容を考えるヤンキー。
2分後。
考えた世界チャをタイピングする。
世界チャット。
発信者ヤンキー。
「親愛なる『乱舞』さまへ。拝啓、今回の領土戦は全力で戦っていただいてありがとうございます。」

すると
痺れを切らした長老が間の悪いことに世界チャを同時に叫んでいた。
世界チャット
発信者テラキモス長老。
「これで勝ったと思うなよ、め〜〜〜ん!!!」

「……………………」
全てが台無しになった瞬間である。
すぐにジジイが世界チャを流す。

「やべぇ! 台無しじゃww」

とき、既に遅し。
ヤンキーの続きの文章は何を言っても説得力は無かった。

「乱舞の皆様、今回は大変勉強になりました。これからも精進して(ジジイ黙れ)また領土戦に挑ませていただきます」

ジジイ、石のように黙る。

「最後に応援してくれた皆さん。本当に本当にありがとう。これからも『乱舞』様共々よろしくお願いたします!!! 敬具」

ジジイ、一歩も動かない。

「…………」
「さて、ジジイ?」
「な、なんじゃ!?」
「ちょぉぉぉっと、話があるからそっちの裏に来いや?」
「ヒィ!」
「バキボキ(←指の骨を鳴らす音)」
「ま、待つんじゃ、ヤンキー! あれはちょっとしたおちゃめ―――」
「はいはい。ちょっとこっちに来ような、ジジイ♪」
「ヒィ……!! だ、だれかたすけ…………」
「いいから来い!!」
「ぎゃぁーーーーーー!!!」

こうして、「VS乱舞」戦は終了した。
この場をお借りして、乱舞様へお詫びを申し上げます。
「私の感謝は本当で、ジジイが言った言葉は本当に冗談ですので気にしないでいただきたい。
これからも「乱舞」様の更なる発展を願っております。
今回の領土戦、ありがとうございました。
これを見た「乱舞」メンバーの方は感想、苦情、なんでも構いませんのでヤンキーまで。
お待ちしております!!


次回予告。
急激に増え始めるヲタレンジャーのメンバー。
水面下で動くジジイ抹殺計画。
ヤンキーの慟哭がベテルギウスに木霊するとき、
ジジイはまた遅刻する!!

 

もうなんか、ジジイに振り回されてない私?
お楽しみに!!!



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